指揮命令の有無について

原告の主張

乙書証である契約書に「スタッフは会社の指示に従え」と書かれていた上、業務マニュアルの内容の通りに業務を行うよう指示されていた。
また、会社が設定した売上などの評価対象に対する目標値が記載されたデータファイルが職場に送信され、目標値を上回るように言われた。
他にも、会社のパソコンを使って業務報告データファイルに必要事項を入力し、それを会社の担当者にメールで送ったり、個別の業務に関する指示が来たときには、その対応をさせられた。

被告の主張

私たちが務めていた職場には、店長など管理者がいなかったので、指示できるはずはない。
社長や役員も契約書の内容をもとに何らかの指示をしたことはない。
業務報告データファイルなどの入力や提出作業は、大した業務量ではないのだから、してもらっても差し支えない。

原告の反論

契約書には、スタッフを会社の指示に従わせるための文言が多数含まれていた。
職場に管理者はいなかったが、メール、電話など、物理的な距離はあっても指示を出す手段はいくらでもあったし、実際に指示を受けていた。
定例であれ臨時であれ、他店舗の担当者から送られた指示メールに従っていたので、そのときのメールのやりとりを甲書証として提出。
会社からの指示、命令は、あったかなかったかが重要で、量の多い少ないはまったく関係ない。

被告の反論

契約書は雇用労働者向けのものを参考にして、法律を知らない者が作ったものだから、法的には有効ではない。
このことは私たちも承知していたはずだし、契約書の存在すら知らなかったはず。

感想
私たちが契約書の存在を知らないことが事実なら、なぜ、会社が私たちの署名捺印をした契約書を持っていたのでしょうか。